日本の伝統的な婚約の形が「結納」です。
結納は仲人を立てる正式なスタイルがありますが、現在では略式又は簡略式での結納や食事会など様々なスタイルで行われることが多くなりました。結納に対する考え方は地域や家によって大きく異なりますので、スタイルを決める時はそれぞれの親の意向なども確認して納得できる形で進めるようにしましょう。
ここでは結納に関する知っておいた方がよいマナーについてご紹介していきます。
結納のスタイルとマナー
【結納のスタイル】
正式結納
仲人が両家を行き来して結納品を届ける、最も伝統的な形式です。両家の間を取り持つ仲人の存在は以前は不可欠でした。
関東式のスタイルでは、男女が互いに結納品を贈りあいますので、仲人は最初に男性宅で結納品を預かり、女性宅へお届け。その後女性宅から預かった受書と結納品を持って男性宅へお届け。最後に男性宅から預かった受書を女性宅に届ける、という流れで両家を往復します。

この形式の結納は仲人の負担も大きい上にじかも長くかかりますので、仲人の労が少なくなるよう配慮が大切です。例えば、仲人宅までタクシーを用意し女性宅と男性宅の移動を楽にしたり、結納を行う部屋では「お世話をかけます」「度々ご足労おかけします」など仲人を気遣う言葉を添えましょう。この伝統的な結納は両家の位置がある程度近いことが前提条件となります。両家の距離は片道1時間ぐらいが目安です。それ以上の長距離になると行き来する仲人にも失礼にあたります。
他にはお祝いの料理や手土産、謝礼などで仲人への感謝を表します。
会場と参加者
□会場
男性宅又は女性宅
□参加者
➀仲人夫妻 ➁男性と親 ➂女性と親
仲人は、親の希望がある、尊敬する人に婚約・結婚を見守ってもらいたいなどの時に依頼します。仲人を依頼する時はできるだけ早めに打診します。
☆仲人と媒酌人☆
最近ではお見合いから結婚までにお世話をしてくれる人を「仲人」と呼ぶようになっていますが、
本来は役割事に呼び方が異なります。「仲人」…結納を取り仕切ってくれる人
「媒酌人」…挙式の媒酌をしてくれる人結納で仲人を依頼した人に挙式・披露宴をお願いすることが多いと思いますが、結婚式当日はその方を「媒酌人」と呼びます。
略式結納
仲人と両家が一堂に会して行う結納のことです。仲人を介して結納品を贈りあうのでやや形式を重んじた結納にしたい場合に選ばれています。結納品も形式に合わせて準備をします。
会場と参加者
□会場
ホテル・式場・料亭・女性宅・仲人宅など
□参加者
➀仲人夫妻 ➁男性と親 ➂女性と親
簡略式結納
仲人を立てずに両家だけで行う結納のことです。現在ではスタンダードになりつつある形式です。進行役は主に男性側が務め、会場や形式や両家の意向に添ったものになります。
会場と参加者
□会場
ホテル・式場・料亭・レストラン・女性宅など
□参加者
➀男性と親 ➁女性と親 (祖父母、兄弟姉妹が参加することも)
結納のスタイルを決めたら、仲人をたてる場合は依頼を、たてない場合は、場所・日程・時間を決め両家に打診をし、都合のよい日を決め結納を執り行います。
【結納時のマナー】
結納の場所
結納はホテル・式場・料亭などで行われることが多いですが、一番大切なのはどこで行うかの「場所」です。
例えば、両家共に都内や北海道など近い位置にあれば場所選びもスムーズに運びますが、一方が都内、一方が九州など離れている場合は、どこで行うのがベストか両家で話し合いが必要となります。結納は男性側の家の近くだったので、結婚式は女性側の家の近く、などと決めることもありますし、両家の中間地点で行う、または旅行がてら一方に行く、など様々なケースがあります。いずれにしても一方が行くことになった場合は、旅費や宿泊の手配などお金に関することはあらかじめ決めておき、後で問題などがおこらないようにしておきましょう。
日程と時間
日程は両家の都合の良い日に決めますが(大安・友引・先勝など吉日を選ぶ方が多数です)結婚式近くにすると準備が慌ただしくなりますので、余裕を持った日程選びをしましょう。
時間は昔からおめだい事は、午前中が吉とされているので、10時30分、11時頃からスタートし、結納後の食事をお昼の時間に設定することが多くあります。
ただし、遠方からやってくる場合は、午前中の時間が難しい場合もあるので、臨機応変に対応していきましょう。
服装
結納時の服装は、女性は振袖など着物、男性は礼服や略礼装をするのがマナーです。そして、親も子供の服装に準じたものを着用します。アクセサリーやネクタイなど小物は上品なものをセレクトしお祝いにふさわしものを身につけましょう。
準備するもの
➀結納品
結納の儀で交わす、結納品は関東式のように両家で交わす場合は、両家共に揃えます。
5品目7品目など贈る品目数を合わせましょう。
結納品詳細はコチラ
➁結納金
結納金は男性から女性へ贈られる結婚のための準備金です。
金額は地域によって大きく異なり、全国平均は90万円ぐらいです。
結納金の詳細はコチラ
➂婚約記念品
婚約記念品とは、男性から女性へ贈る品のことで、9割以上が婚約指輪を選んでいます。結納時に交換をして指輪の披露をすることも。
➃結納返し
婚約記念品のお返しとして用意する品のことで、男性に渡す記念品のこと。実用性の高いものが人気で、時計やスーツ、カバンなど。
結婚が決まった!新郎新婦のマナー
結婚が決まった新郎新婦は、親への挨拶、結婚式など新しい生活へ向けての準備がたくさんあります。
1婚約中
結婚の意思が固まり、それぞれの親に報告をすませたら、いよいよ次は相手方の親の元へ行き、結婚の挨拶を行います。すでに面識があったとしてもけじめとしてしっかりと挨拶することがマナーです。(男性が女性宅へ訪問する時の例を紹介します。男性宅へ行く場合も基本の流れは同じです。)
相手の親への挨拶
➀玄関で挨拶
玄関先では軽い挨拶でOKです。相手にお尻を向けずにドアを閉め、正面を向いて挨拶をします。コートなどを着ている場合は、玄関に入る前に脱いでおき、家に上がる時は靴をそろてましょう。
②部屋に案内された所で正式な挨拶をする
はじめまして。田中康太と申します。
本日はお時間を頂きまして、ありがとうございます。
どうぞ宜しくお願い致します。
ソファや座布団には進められてから「失礼します」といって座ります。一同が揃ったら、洋室ではソファなどの脇に立ち、和室では座布団から離れて正座し、挨拶の時は丁寧にお辞儀をします。
部屋に案内された時、すすめられた席か下座に着席します。
※下座の位置を確認!
➃番です!!扉に近い所が下座になります。どこでも使えるので覚えておきましょう!
➂手土産を渡す
甘いものがお好きだと伺いましのでどうぞお召し上がりください
自宅を訪問する時は手土産を持参するのがマナー。セリフは「お口に合うと嬉しいのですが…」などでもOKです。
手土産には、3,000円~5,000円程度のものを選びます。
表書きは、「御挨拶」、蝶結びの水引、名前入りの熨斗、をかけてもらうとより丁寧な印象になりますよ。
➃最初の会話は自己紹介
年齢、出身地、職業、趣味などの自己紹介からスタートし、自分からも相手方の興味のありそうな話題をふりながら、会話を進めていきましょう。質問をされたら丁寧に答えましょう。
⑤本題へ
場が和んだ頃合いを見て、結婚の了承を得る本題へと移ります。姿勢を正して、相手の両親の目をみて結婚の意思を伝えましょう。
今日は孝子さんとの結婚をお許し頂きたく参りました。必ず幸せになります。
他には…
〇〇さんと結婚させて頂いて宜しいでしょうか。〇〇さんと結婚したいと思っています。必ず幸せにしますのでお許し頂けますか。など自分たちらしい誠意を示す言葉を考えておきましょう。NGは「お嬢さんをください」
物ではないので、くれぐれも注意を!
⑥話がひと段落したら
2時間を目安にして、退席を申し出ます。
本日はありがとうございました。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
挨拶の際は、席を立ってから行います。玄関先でも「それでは失礼致します」など軽く挨拶をしてから外へ出ます。
帰宅後にお礼の電話をかけるか礼状を出します。
こんな時どうする?!
□相手の親を何て呼ぶ?
→会話の中で相手の親を何と呼ぶかは意外と難しいもの。
「〇〇さんのお父さん、お母さん」または「おじさま、おばさま」がよく使われます。
相手のことは〇〇さんと呼びます。お互いに呼び合う時も「さん」付けが基本です!
□自己紹介で何話す?
→家族の話や結婚相手とのなれそめ、これまでのお付き合いの中での話が無難です。
相手の親の趣味や子供のころの話に話題を持っていくと会話がスムーズになるので、事前に相手の親の情報
を聞いておいたり、自分の情報を伝えておいてもらうのがおススメです。
□帰り際に食事を勧められたら
→「長居してしまいましたので、本日は遠慮させて頂きます」などと辞退しますが、それでも勧められた時は
すでに準備をしていることが多いので、ご馳走になりましょう。
□女性は手伝いを申し出る?
→食事を頂く際は手伝いを申し出るのが礼儀です。「何かお手伝いすることはないでしょうか?」と声をかけ
ましょう。断られた時は手伝わなくて大丈夫です。「何かありましたら仰ってください」など付け加えてお
けると好印象です。
顔合わせのマナー
お互いの親への挨拶を済ませたら、次は両家での顔合わせを行います。最近ではこの顔合わせの食事会を婚約(又は結納)とするスタイルが増えています。
食事会の場合、特に決まった形はありませんので、親同士の初顔合わせの食事会を正式な婚約の場とする例をご紹介します。
➀始まりの挨拶と乾杯
進行役は男性本人、または男性の父親が進めることが多いです。進行役は事前に相手方と話し合って決めておきましょう。
本日はこのように両家で会食の場を設けることができ、嬉しく思います。本日は食事を頂きながら今後のことなどご相談できればと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。
②お互いの親の紹介
はじめまして。康太の父親の田中健司と申します。
本日は宜しくお願い致します。
康太の母の美代子でございます。どうぞ宜しくお願い致します。
続いて、女性側の紹介に入ります。男性と同様の流れです。
はじめまして。孝子の父の佐藤明人と申します。
本日は宜しくお願い致します。
孝子の母の良子と申します。本日は宜しくお願い致します。
➂婚約記念品の交換
婚約記念品はなくてもかまいませんが、交換する場合は男性から女性に渡します。指輪や時計などが一般的です。指輪の交換の際は手にはめて披露します。交換が終わったら、「結構なお品物をありがとうございます」など御礼の言葉を述べます。結納のようにより正式な形で記念品の交換を行いたい場合は、進呈目録をつけましょう。
➃乾杯と歓談
食事のスタートの合図となる乾杯。男性側が進行をリードしている時は乾杯の音頭を女性の父親にお願いすることもありいます。乾杯が済んだら食事をスタートさせながら歓談を楽しみます。結婚式や結婚後の住まいや計画など今後の話をしながら親睦を深めます。
⑤締めの挨拶
食事が終わって一段落したら、締めの挨拶をします。親が進行を務める場合も、最後は本人たちからひと言述べるようにしましょう。
本日はありがとうございました。
結婚式の準備などで今後色々とお願いすることも多いと思いますが、
宜しくお願い致します。
本日はありがとうございました。
これからどうぞ宜しくお願い致します。
2結婚準備中
両家と顔合わせや結婚への承諾を得られたら次は自分の周囲の人にも報告をします。親族や友人にはメールや直接会って伝えたり、婚約通知状などで知らせることもあります。
職場へは仕事に支障がないように早めに報告をすることが大切です。
職場への報告
結婚が決まったら早めに勤務先の上司に報告をします。退職をする場合は3ヶ月前に伝えます。先輩や同僚への方向は上司の後が原則です。先に打ち明けたい場合は、上司に話すまで内緒にしてもらいましょう。上司へ報告の際は、人がいる所は避け「私ごとですが、ご報告がございましてお時間宜しいでしょうか」と切り出して別の場所で伝えるのがベストです。
【職場へ報告する時の言葉】
*上司を結婚式に招待する場合
実は〇月〇日に(場所)で結婚式を挙げることになりました。
日頃お世話になっている鈴木部長にもぜひご出席いただきたいと思っております。
後日改めて招待状をお渡しさせて頂きますので、宜しくお願い致します。
*上司を結婚式に招待しない場合
この度結婚をすることになりました。
〇月〇日に身内のみで挙式をすることになり、大変申し訳ございませんが、準備などで休暇を頂くことがあるかもしれません。ご迷惑をおかけしないように努力致しますので、どうぞ宜しくお願い致します。
*退職する場合
この度結婚をすることになりました。式は〇月に挙げる予定です。
つきましては、結婚を機に〇月〇日をもって退職させて頂きたいと思っております…
退職願いはおって提出させて頂きます。
スピーチ・受付依頼
結婚準備のスタートは招待するゲストのリストアップから始まります。招待予定の人には招待状を送る前に事前報告をしておきますが、実際に呼ぶ人を決めていきます。その中で、主賓の挨拶・スピーチや余興の依頼・受付係のお願いなども招待状を送る前にお願いをするのがマナーです。招待状を送った時に受付よろしく!という気軽な感じになるのは避けましょう。
【主賓を依頼する時の言葉】
お忙しい中、お時間をありがとうございます。
この度、結婚をすることになりまして、〇月〇日に〇〇で結婚式を挙げることになりました。
そこで部長に主賓として披露宴にご出席頂けないでしょうか。
また、当日一言お言葉を頂けましたら幸いでございます。
突然のお願いで大変恐縮ですが、ぜひ宜しくお願い致します。
主賓の場合は礼を尽くす意味で招待状を持参して直接手渡しをしましょう。
【スピーチを依頼する場合】
ぜひ、披露宴の席でお言葉を賜りたいと思います。
結婚生活につきましてもご助言頂けましたら大変光栄です。
どうぞ宜しくお願い致します。
結婚式の披露宴でぜひスピーチをお願いできますでしょうか。
いつもの〇〇さんの楽しいお話をお聞かせください。
私のことをよく知っている〇〇さんに結婚式のスピーチをお願いしたいのですが…。
スピーチは他の人と内容が重ならないように、どんなことを話してほしいのかあらかじめ伝えておくのがおススメです。
【受付係を依頼する時の言葉】
〇〇さんはしっかりしていて、言葉遣いも丁寧なのでぜひ受付をお願いしたいと思っています。
〇〇さんには私の結婚式の受付をお願いしたいと思っていたので、ぜひお願いします。
※スピーチや受付などお願いをする場合は、その人日お願いをした理由を添えて依頼すると相手も気持ちよく引き受けてくれるものです。
3結婚式当日
結婚式の当日はふたりのために足を運んでくれた列席者やお互いの親にもしっかりと挨拶をするのがマナーです。一人ひとりに心を込めて感謝の言葉を述べましょう。
➀お互いの親に挨拶
今日という日を迎えられたことへの感謝のほか、当日お願いしたいことなどがあれば(受付の人への御礼やお車代、上司への挨拶など)伝えておきましょう。
お蔭様で本日を迎えることができました。ありがとうございます。
行き届かないところがありましたら教えてください。
色々とお気遣い頂きましてありがとうございます。
本日も一日どうぞ宜しくお願い致します。
②親族に挨拶
親族は親しい間柄や親の手前なあなあになりがちですが、きちんと挨拶をするのがマナーです。衣装を着た新婦はあちこち移動するのが大変なので座ったままの挨拶の時は座ったままで失礼します、など一言断りを入れましょう。
ご無沙汰いたしております。お元気そうで何よりです。
本日はご出席頂きありがとうございます。
遠方よりお越しくださりありがとうございます。
どうぞごゆっくりお楽しみください。
結婚式の挙式が済んだ後、主賓やゲストをお出迎えするシーンがあれば挨拶を行います。いずれも参列してくれたお礼や主賓・スピーチを引き受けてくれた謝意を伝えます。
➂ゲストのお見送り
結婚式がお開きになった後は、ゲストをお見送りする送賓です。次々とゲストが出てくるので後がつかえないように特定の人と話し込んだり写真撮影に没頭したりすることのないように気を付けましょう。最後まで丁寧に挨拶するようにしましょう。
本日はありがとうございました。
素晴らしい祝辞を頂き感激しております。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
本日はありがとうございました。
今後とも宜しくお願い致します。新居にもぜひいらしてください。
➃受付の人へ御礼
当日は慌ただしくゆっくり挨拶をしている時間は少ないのでその場は軽く御礼を述べ、後日直接会うなどして御礼を伝えましょう。御礼として新婚旅行のお土産を手渡すなどもおススメです。
本日は受付担当ありがとうございました。
お疲れ様でした!
また改めて御礼をさせてください。
受付の御礼
結婚式の受付をしてくれた友人への御礼の金額は
3,000円~5,000円が相場です。
当日新郎新婦から御礼を渡すことはできないので、
自分の親にお願いしておくのがベストです。