この記事のもくじ
結納とは
婚約が整った時に、男性が女性宅に酒肴をもって訪れ、宴会を開く風習ができ、この時の酒肴を「結いもの」といったことから、この儀式が結納と呼ばれるようになりました。結納品を飾り、お披露目することで、正式な婚約を周囲に知らせる意味もありました。
結納の歴史
結納の歴史は古く色々な説がありますが、1400年頃が起源と言われているそうです。その時代の皇子が妻を娶る際に贈り物を送ったことが始まりとされ、以後室町時代には作法が整えられ、武家や公家など身分の高い間柄で儀式的に行われていましたが、明治に入り民間にも結婚式が広まったため結納の習慣が定着していったとされています。
結納のスタイル
結納を執り行う際、結納品を贈りあいますが、結納品とは、両家で取り交わす縁起のよい意味の込められた品々のことをさします。結納品の数は9品目が正式ですが、簡略化する時は、7品目・5品目・3品目と奇数の数を贈ります。両家で贈りあう時は、この数を合わせるのが大切とされています。
結納のスタイルは「関東式」と「関西式」に大きく分かれます。ただし結納品の贈り方は地域によって独特な風習が残っているので、詳細は自分の地域を確認するようにしましょう。(地域の独特な風習はコチラから)
関東式の結納のスタイル
男性・女性が共に同格(もしくは女性側が一段下げてもOK)の結納品を用意し、互いに取り交わします。女性側がもらった結納金の半分を返す=半返しとする習慣が多いです。
結納品9品目は1台の白木の台にすべて並べます。
ご近所におすそ分けとして
ふるまっていました。
結納品の予算の目安は、1万円~5万円と言われています。揃える品目や見た目の豪華さなどにより金額に幅がありますので、直接品物を見にいける機会があればみておくといいでしょう。
略式に揃えた場合の品をそれぞれご紹介します。
①長熨斗 ②目録 ③金包 ④友志良賀 ⑤寿恵広
関西式の結納スタイル
関西式は結納品を用意するのは新郎側のみです。品数は5、7、9品~多い時は21品ぐらいまで揃える場合もあります。
結納品を一品ずつ独立した台にのせ、松竹梅鶴亀などの立体的な飾りをつけてとても豪華なのが特徴です。高砂人形・婚約指輪もプラスして見た目が華やかになっています。
関西では、目録は一品目として数えませんが用意はします。
関西式の結納品の予算の目安は、3万円~20万円となっています。揃える品目により金額がかなり異なります。
受書
受書とは結納品を確かに受け取りましたと示す領収書のような位置づけです。
結納品を受け取った側が書いて渡すものですが、現在では結納品を購入した時についているので、事前に男性側から預かり、当日渡すことがほとんどです。
家族や親族のを紹介する、「家族書」や「親族書」を取り交わすこともあります。
家族書には本人と同居する同じ戸籍の家族を記載し、親族書には3親等以内の親族を記載することが一般的です。これは両家の家族・親族が婚約に賛成していることを示すためのものとされ、結納時には家族書・親族書を交換するのが習わしでした。現在では少なくなりましたが、こういった書類が存在していることも覚えておきましょう。
結納品はしきたりを重視しただけのものではなく、一つひとつに幸せを願い、縁起のよいものばかりを取り揃えて贈るとても贅沢な贈り物ということがわかりますね。結納品は挙式がすむまで床の間に飾っておき、お祝いに訪れた人に披露するのが習わしと言われています。
結納セットは百貨店やブライダル専門店などで販売されることが多かったですが、最近はアマゾンなど通販サイトでも購入できるようになっています。
結納の準備
結納の準備には、場所・日取り・結納品やお金・服装などを事前に両家で話し合いをし決めていきます。両家で初めて行う作業なので、当人同士が積極的に意見交換をしてまとめていくことが大切です。
結納の場所
結納を執り行う場所は、関東は式場やホテルなど結納プランを利用する率が高いですが、関西では女性の自宅で行う割合が高いなど地域差がありますが、代表的な場所は、
1.ホテル・式場
室料や会食費は他に比べて高めになりますが、格式の高いサービスが受けられたり結納プランなど便利なサービスもあるので、準備が楽にできます。
(結納プランとは、結納品や料理・当日の進行・装花・写真などがセットになったものなど様々なプランがあります。)
2.料亭・レストラン
個室が予約でき、格式のある雰囲気でできるところも結納に向いています。結納品がおける広めの部屋があれば尚よし。料理も期待できるので会食中の会話も弾みそうです。
3.自宅
以前は女性宅で結納を執り行うのが一般的でしたが、最近は男性宅や仲人宅で行うこともあります。会場を借りるよりも費用が抑えられたり、相手の家庭状況がよくわかりリラックスできますが、もてなす側の細やかな準備が必要になります。自宅で行う場合は、迎える側が祝い膳などを用意するので、向かう側は相応の土産や酒肴料などを持参し一方に負担のないようにするなど配慮をしましょう。
結納の日取り
結納の日取りは、挙式の3~6ヶ月前を目安に両家の出席者の都合のよい日を選びます。
お日柄にこだわるなら「大安」「友引」「先勝」(カレンダーにある六曜を参考に)や末広がりで縁起のよい「8」のつく日を選ぶのもおススメです。
お祝い事は午前中に行うのが昔から吉とされていて、午前(10時30分頃)に結納をお昼から会食をスタートさせるのが最も一般的です。ただ、遠方からで会場が遠く午前中から始められない場合は、14時頃に結納をスタートさせ、その後お茶会などを開いたり、夕方16時や17時頃に結納をスタートし、18時頃~会食をする、など現在ではそれぞれの状況に応じて臨機応変に対応することが多くなっています。
結納の服装
結納に臨む服装は準礼装や略礼装が主流になっています。
男性本人は、礼服かダークスーツを着用しワイシャツやネクタイ(派手すぎず落ち着いたものを)もフォーマルなものがおススメです。靴下と靴は黒が一般的。
女性本人は、和装であれば成人式で着用した振袖、または訪問着・付け下げなどを選びます。洋装の場合は上品なワンピースやスーツ、セミアフターヌーンドレスなどを選び、肌の露出度が高いものや派手な色合いのものは避けましょう。セレモニーの雰囲気が出るような小物選びを心がけましょう。
父親は、男性本人の服装に準じ、ブラックスーツかダークスーツを選びます。双方の格が合うように調整をします。
母親は、一方が訪問着や付け下げなど着物を着用する場合は、父親同様に格を合わせるようにします。洋装はフォーマルな雰囲気のワンピースやスーツがおススメ。アクセサリーやバッグなどはシンプルにまとめましょう。
結納金
結婚準備の仕度金としての結納金。どのぐらいのお金をかけるべきか、で頭を悩ませる方が多いですが、しきたりを踏まえた上で無理せず自分に見合った歯にで用意することが大事です。
金額は地域によって様々ですが、50万円・70万円・100万円などキリのよい金額を贈るのが一般的です。月収の2~3倍が目安ともされています。結納金は高額になりますが、振り込みや小切手ではなく現金で贈るのがマナーです。金融機関で新札を用意して、中包みに入れて「金〇〇円」と記載してから上包みに包んで水引をかけるようにします。
結納金の平均は、地域によって差がありますが、半返しがありで平均は90万円ぐらいです。グラフからも50~150万円の層が一番多くなっていますね。(半返しの相場は、関東では50万~60万円、関西では10万~20万円が多数でした)
結納金を贈られた側の対応も、半返しや結納返しを行わないなど地域によって異なりますので、よくある3例をご紹介します。
半返し
男性から女性に結納金を贈り、女性からは結納品の半額を結納返しとして贈ります。関東でよくあるスタイルです。
現金か品物
男性から女性に結納金を贈り、女性からは結納金の1~3割の現金か品物、または10万円~20万円ほどの品物を贈ります。主に関西で多いスタイルです。
女性から男性にお返しをする品としては、実用性の高いスーツや時計・カバンなどが人気です。1万円~数万円台までと金額も様々ですが、事前にリサーチしておくと喜ばれますよ。
半返しは省略
結納金を贈りますが、半返しを省略するため、半返し分の金額を差し引いた結納金を用意し男性から女性に贈ります。
まだ少数ですが、結納金を贈らず省略するこもありますが、両家が納得していればなくても全く問題ありません。帯料や小袖料といった名前が示す通り結納金は結納品の代用ですので、どう捉えるかは二人と両家で話し合いをしていきましょう。結納当日は、中身は入れなくても金包はそのまま用意し交わすだけにすればOKです。
結納にかかる費用
結納には、会場費・会食費・結納品・婚約記念品の購入など様々な費用が発生します。どちらか一方に負担がかかりすぎたり、金銭面で不満が残ることがあると、今後のお付き合いに支障をきたす可能性もあります。お金の話は中々しづらいですが、本人同士を中心に両家で円滑に進めらるようにしていくことが大切です。
費用に関しては、昔は男性側が十分な結納金を用意し、結納の会場費や会食費は女性側が負担するものとされてきましたが、最近は双方の負担を考慮して両家折半を選択することが多くなっています。ただ、折半といってもすべてを半額にするわけではなく、一方が遠方に住んでおり、宿泊費や交通費などがかかる場合は、会場費をもう一方が負担するなど、両家の事情により対応していきましょう。
■費用の目安
結納ではホテル・式場や料亭・レストランなどで執り行いその後、会食をすることが一般的です。食事を含めた結納にかかる費用がどのぐらいになるのかみてみましょう。
15万円~20万円未満が最も多い結果となっています。
ホテル・専門式場で行う場合は、室料(2万円~3万円)、食事代(@1万円~2万円)、写真や装花などを含めると20万円前後になり、
料亭やレストランは、室料(1万円~2万円)、食事代(@5,000円~13,000円)ぐらいが相場です。
■結納の費用分担の例
会場費や会食にかかる費用は両家で折半される傾向が高いです。両家で出席人数が違う場合は、折半ではなく、それぞれで人数分を負担することもあります。
衣装代や結納品の購入は、自己負担が一般的。ただ、両家で結納を取り交わすケースでは形式を揃えるため(9品目や5品目など)結納品は一括に購入し両家で半額ずつ支払うこともあるようです。
女性が当日振袖や訪問着を着る場合は、衣装の着つけやヘアメイクにかかる費用は自分で持ち出します。
会場までにかかる交通費はそれぞれが負担するのが一般的です。一方が遠方で宿泊を伴うような場合は、他の費用で配慮をすることもあります。
結納の流れ
大変そうなイメージの結納ですが、形式に沿って進めれば20分程ですみます。ただ、地域によってやり方は様々です。ここでは男女が結納を取り交わす関東式の結納を基本にご紹介していきます。
結納の出席者
以前は結納の際は、両家の間を取りもつ仲人が必須の存在でしたが、現在では「相手に時間と手間をかけてしまうので申し訳ない」「仲人をたてるような仰々しいものでなくてよい」「結婚後のお付き合いで気を遣うのがしんどい」などの理由もあり仲人をたてての結納はかなり減少しています。
仲人をたてない場合の出席者は
・婚約する本人
・男性側の親
・女性側の親
最大で6名の出席者が基本となります。(祖父母や兄弟姉妹の出席も可能です。基本的には同居の親族を中心に参加しています。)
親が死別・離別、父母のどちらかしか出席できない場合は一人でも構いませんし、親族に代理で出席してもらうこともあります。親が遠方に住んでいたり健康上の理由で出席できないなどの理由がある場合は、男性側が本人一人で結納をおこなうことも可能です。両家で納得し当日にしっかりと対応ができれば問題ありません。
結納の席次
結納の席次は、上座から、「本人→父親→母親」の順に座るのが基本です。両家が集まる結納では、正面(床の間)に対して男性が右側、女性が左側に座ります。
和室では床の間が上座になります。和室では畳の縁をふまないのがマナーですので、入退室の時などは特に気を付けましょう。
洋室では、結納品の飾り棚や花のある方が上座になりますが、和室ほど上座が明確でない場合もあるので、その時は、扉から遠い方、絵がかけてある、花が飾ってあるなどの位置を上座と考えて席次を決めるのがおススメです。
結納の進行
仲人がいない場合、進行約は男性側の父親が執り行うのが一般的です。(母親でもOK)挨拶の口上を述べ、一同深く礼をします。
男性の母親が結納品をもって女性本人の前まで運び軽く一礼をして席に戻ります。その後、男性の父親が口上を述べ深く一礼します。女性はそれを受けて軽く礼をします。最近は男性本人が運び、自分で口上を述べるケースもあります。
女性が目録に目を通したら、父親→母親の順に目を通し、女性本人が目録をもとの状態に戻し、口上を述べて女性側一同が深く一礼します。
女性の母親が結納品を女性側の飾り台に運び、受書を持って男性側の前におきます。女性の父親が口上を述べて、一同深く一礼します。男性側は受書をあらためて、口上を述べます。
(父親)こちらは鈴子からの受書でございます。どうぞお納めください。
(男性本人)お受けいただき、ありがとうございます。
女性の母親が結納品の飾り台まで行き、男性側に贈る結納品を持って男性本人の前まで運びます。軽く一礼をして席に戻り、女性の父親が口上を述べて深く一礼をします。男性はそれを受けて軽く一礼します。
男性側は軽く会釈をして結納品を受け取り、男性本人が目録に目を通します。女性に贈った時と同様に、父親→母親の順に目録に目を通し男性本人が目録をもとに戻します。男性本人より口上を述べ深く一礼をしたら、男性の母親が結納品を飾り台に運び、女性側に受書を渡し同様に確認します。
(男性の父親)こちらは晃からの受書でございます。どうぞお納めください。
(女性本人)お受け頂きありがとうございます。
男性の父親が結納が無事に開いたことを宣言する締めの挨拶を述べます。続いて女性の父親が返礼の口上を述べ、一同で「今後ともよろしくお願いいたします」と丁寧にあいさつをした所で、結納の儀式は終了します。
(女性父親)こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
婿養子になる場合の結納のしきたりは、男性側と女性側の
立場が通常とは逆になることです。
女性側は男性に結納品を納め、結納金も用意します。
この場合、結納気にの名目は「御袴料」になります。
そして、結納当日は、席次も男性側と女性側が通常と
逆になり、進行も女性側の父親が進めます。
結納が滞りなく終了した後は、両家で会食をし親睦を深めます。自宅で行っていた時は鯛やエビなどの縁起のよい料理を用意し祝うのがしきたりでしたが、現在ではホテルや料亭など溶離を楽しむことが多く、和食などにこだわる必要はありません。
ここまで結納について様々な角度からご紹介してきましたが、結納は両家の絆を深める儀式として、花嫁を大切にしますという誠意の表れとして、結納を大切にしているエリアは現在でもたくさんあります。最近は食事会のみの傾向も増えてきましたが、「一生の記念になる」「伝統的なしきたりが新鮮」などその魅力を見直す声も出てきています。結納とはどのようなものかを理解した上で、自分たちがどうしたいかを相談してみてはいかがでしょうか。